波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

「安楽死を遂げるまで」

約 1 分

「安楽死を遂げるまで」
宮下 洋一 (著)

今更ながらの安楽死問題ですが、容認するしないを別にして、各国の現状を観察して記述した本書は価値があると思います。

時に、著者の主観が入りますが、そもそも完全なる客観というのはない訳で、それはそれでまた本書のリアリティに一役かっている気がしました。

印象に残ったのは、著者のインタビューに答えた医師たちの台詞でした。

「人々は、耐えられない痛みのせいで安楽死を選ぶのではなく、これ以上生きてもしょうがないという、別の理由から死を選ぶ傾向のほうが強いと言います。私が出会った多くの患者の中で、深刻な親子問題を抱える人たちほど、患者が死期を早めようとしていました。私は、医師である前に、こうした問題の解決にも力を注いできました」

「末期とは、医学的に余命6カ月程度のことを指すといわれていますが、これには根拠がありません。今お伝えしたように、治療を断った時点で、末期になるのです」

この二つの文章にはとても考えされられました。

よく、診断書や指示書の病名に「○○の末期」と記載することがあり、そのたびに違和感を感じていたのですが、この文章を読んでなにか「ストン」と胃の腑に落ちが気がしました。

高齢者医療、緩和ケア医療、精神医療にかかわるすべての人に読んでほしい一冊です。

内容紹介:
安楽死、それはスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカの一部の州、カナダで認められる医療行為である。超高齢社会を迎えた日本でも、昨今、容認論が高まりつつある。しかし、実態が伝えられることは少ない。安らかに死ぬ―。本当に字義通りの逝き方なのか。患者たちはどのような痛みや苦しみを抱え、自ら死を選ぶのか。遺された家族はどう思うか。79歳の認知症男性や難病を背負う12歳の少女、49歳の躁鬱病男性。彼らが死に至った過程を辿るほか、スイスの自殺幇助団体に登録する日本人や、「安楽死事件」で罪に問われた日本人医師らを訪ねた。当初、安楽死に懐疑的だった筆者は、どのような「理想の死」を見つけ出すか。