波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

ツレがようつうになりまして。

約 1 分

コルセット 一昨日、当直明けの朝、医局でまったり新聞を読もうとしていたその時、突然携帯が鳴りました。早朝の電話はあまり良いことありません。ほぼ間違いなく異常を知らせる合図です。ほとんどは在宅患者からの往診要請で、朝早くの急変は重篤な疾患であることが多く、この時間に電話が鳴るとドキドキします。

 携帯を見ると家内からの着信です。これはこれでやっかいです。電話にでると「腰から下が痛い」と情けない声で訴えます。なんじゃらほい?です。とりあえず「話が出来る」状態で、すぐ命に別状はなさそうです。繰り返し話を聞くと、どうやら洗濯物を干していた時に急激な腰痛があり、その場に倒れ込んでしまったとのことでした。まあ、話からは急性腰痛症(ぎっくり腰)のようです。慌てることはないのですが、腰痛を甘く見てはいけません。内臓疾患や血管系の異常から腰痛を来すこともあります。

 話だけでは埒があかないので、とにかく患者を直接診なければなりません。話だけで判断する場合と、患者を一目見た場合で全く違う印象になることが多くあります。「まずは診る」ことです。

 かくして勤務先の病院から自宅へ向けて、往診へ出かけるハメになったのでした。(家に帰るわけなので、「往診」ではなくて「復診」?でしょうか)

 自宅に着いてみると家内がうつぶせになって、掘り炬燵に片足を突っ込んでいます。歩けないなりに、這ってそこまで移動したようです。寒さには勝てなかったのでしょうか。腹部の診察とエピソードから、どうも内臓や血管ではなさそうです。それをわたしは一目見て、

 「ギックリ腰だね」

と言い放ちました。

 ギックリ腰はやっかいです。原因不明のギックリ腰の場合、2-3日の安静だけで症状はかなり改善し、予後は良好ですが、安静が必要になります。というより動けません。痛みに耐えて起き上がることも出来ず、非常につらいものです。

 私自身も数年前にひどいのをやったことがありますが、そのときは本当に動けませんでした。自分の意思とは関係なく、痛みで足が動かせないのです。もう情けないのを通り越して、笑いしか出なくなります。

 さて、治療は安静ですから医者としての出番はありません。湿布して、あとはひたすら介助です。立ち上がりをサポートして、付き添い歩行に移行します。ほとんど抱えるようにしてトイレ移動です。結局その日は、家内も私も仕事を休まざるを得なくなりました。動かなければあまり痛くありませんから、必要なのは医療ではなく介護力です。食事の準備、洗濯と普段あまりやらないことをやり、疲れ果てました。私の腰も少し痛みが出てきます。やれやれ介護は本当に大変です。少し先、「老々介護が訪れたときのシミュレーションだ」と思って取り組みました。

 手持ちの湿布がちょうどなくなっていたので、ドラッグストアに行きました。湿布の横にはコルセットが陳列されています。さすが商売上手、いや患者想いですね。
 私はこういう出会いを大事にする性分です。つい、一つ買ってみました(結構いいお値段がしました…)。

 するとどうでしょう、これがやはり効くんですね。寝返りやトイレへの歩行がだいぶ楽になったとのこと。コルセットとのいい出会いでした。

 腰痛が慢性化すると、毎日のコルセットをいやがる患者も多いのですが、急性期には効果てきめんです。慢性期にも少し我慢して装着していたら、悪化予防になっていいかもしれません。

 いままでコルセットの効果にあまり興味を持っていなかったのですが、これを機に勉強し直してみようと思いました。