波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

良書を読むための条件は、悪書を読まないことである。

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キャリアポルノは人生の無駄だ 「良書を読むための条件は、悪書を読まないことである」 アルツール・ショーペンハウエル

 高校時代に使っていた英作文の参考書(たぶん桐原書店だったか)に載っていた言葉です。

 当時疑問に思ったのは、「悪書かどうかは自分で読んでみないとわからないので、結局は良書を読む時間がなくなるのでは?」ということでした。

 「大衆受けするものに、ろくなものはない。」という考え方もあります。ベストセラーになった書籍を後で振り返ると、その後もロングセラーで売れ続けるものは少ないのです。あれは何だったんだろう?と疑問に思います。一時期はベストセラーは絶対読まない方針で、平積みの書籍には絶対手を触れないようにして、手持ちの好きな本の精読を心がけていました。特に新刊本・新書から競争に生き残って、文庫に収録されたものには何かしら得るものがあります。しかし、それだとだんだん視野が狭くなっていきます。

 たぶん、良書を読む上で効率が良いのはロングセラーになっている本を読むことですが、その中にも悪書が紛れ込むこともあります。結局、私にとっては良書も悪書も併せ読むのが心地よく、今は多読派です。年間100~200冊くらい、専門書(医学書)から推理小説、眉唾物の自己啓発本まで、楽しみながら幅広く読みます。書庫も手狭になってきましたので、ざっと流し読みして「保管不要」と判断したものはあっさり廃棄します。大事なのは自分で意思を持って取捨選択することでしょうね。

 「キャリアポルノは人生の無駄だ」はちょっと前に話題になっていたようです。1時間くらいで読めます。中身はそのタイトルの通りで、自己啓発本に依存して、現実を直視しない人たちに警告を発する内容です。「フードポルノ」をもじった造語のようです。(フードポルノもすごい言葉ですが…。)
 しかし、本当におもしろいのは後半です。ヨーロッパの一部で享楽的に生きる人たちを礼賛する内容で、「結局この本自体がキャリアポルノになっている」という“入れ子構造”です。そのあたりは作者(編集者?)の確信犯的な頭の良さと計算の緻密さを感じます。作者の意図を感じながら裏の裏を読んでいくとおもしろいでしょう。