波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

「依存症」を理解する<その1>~大好きなものを我慢してみよう~

約 1 分

アルコール関連問題

 今のアルコール依存症専門病院に就職する以前は、アルコール依存症の患者を診察するたびに、「お酒に飲まれるとは、なんてだらしない人なんだろう」とあきれ、軽蔑していました。

 特に救急外来ではアルコールは嫌われます。アルコール依存症で酩酊状態になり、救急車で来院し「俺は死んでもいい」と叫びながら助けを求め、一方であたりかまわず暴力行為に及びます。依存症でなくても、急性アルコール中毒では運ばれた人は吐物まみれです。
 20代前半の人ならまだ可愛げがあるのですが、もう少し分別があって良さそうな60代・70代の患者が夜中に運ばれてきた場合は、(医療者であっても)心の中で「よそで勝手に死んでしまえ!」と毒づきたく気持ちもわかります。

 ところがですね、依存症患者を真剣に診ていくと、決してだらしない人ばかりではないわけです。なかにはアルコールが抜けてしまえば非常にいい人もいる。優れた人格の人もいるわけです。何とかこの人たちを理解できないものか?下戸の私は頭を抱えてしまったのです。

 そんなとき「依存症患者の気持ちは、同じ病気の人でなくては理解できっこない。」とある人に言われ、それなら「何とかして理解してやろう!」と発憤したのです。

 アルコール依存症から回復している人は「好きなものを我慢している。我慢し続けている」状態にあります。それでもがんばって耐えているのです。ならば私も好きなものを我慢してみよう。そう思いました。私が好きなもの、それは「甘いもの」です。ほかの下戸の人たちの例にもれず、私は大の甘党です。

 ところでアルコール依存症の人が断酒すると、ほとんどの人は甘いものに依存の対象をシフトします。アルコール依存と甘いものは関連がありそうです。それならば、甘いものを我慢すれば、私も彼らの気持ちが理解できるかもしれません。

 また、同じ頃、私にもダイエットを決意させるような出来事がありました。逆境はある意味チャンスです。ダイエットでき、依存症の理解に役立つなら一石二鳥です。

 こうして私の甘味我慢は始まったのです。この続きはまた次回に。