波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

「依存症」を理解する<その3>~アルコールと糖質の類似性~

約 1 分

炭水化物 私は自分のことをコーラ依存症だと思っていました。高校生の頃から毎日のように愛用し、大学生になってからは、常に下宿の冷蔵庫に入っていないと何となく不安でした。しかし、コーラはいかにも体に悪そうです。これを「体にいいよ」という人はいないでしょう。そんなわけで何度かコーラ断ちをしてみたことがあります。一回やめてしまうと、全くコーラなしでも平気なことに気がつきました。しかし、その代わりにほかの炭酸飲料水を飲みます。特にコーラだけに依存性があるわけではないようです。
 それ以外ではポテトチップスやチョコレートも大好きで、これらに依存しているのではないかと思ったこともあります。これらを食べると顔が油っぽくなり、吹き出物が多くなるので、その代わりに煎餅やクッキーにしたことがありますが、それでも全く平気なのです。
 こういった食品の共通点は「糖質」です。つまり、特定の食品(商品)や「甘味」ではなく「糖質に依存しているのではないか?」と、うすうす感づいていたのです。しかしなかなかやめられません。

 当直の時には夜中におなかが空くといやなので、スナック菓子を3袋と炭酸飲料、チョコレートやアイスをたっぷり用意します。スナックは一袋開け、最初の2、3口は味わって食べますが、そのうちに食べるスピードが上がり、まるで「食べ終えるのが目的」みたいになっていきます。念のために用意した予備のお菓子も「食べなければならない」ような気分になり、「多かったかな?」と思いつつも最後は完食です。後にはちょっとした罪悪感が残ります。
 これは、アルコール依存症の患者にもよくあることで、最初の一口はおいしく飲めても、それ以降は味よりも、酔っ払うことが目的となり、手元にあるアルコールがなくなるまで消費するのです。なくなると飲酒運転をしてでも酒を買いに行ってしまします。これでアルコールをお菓子に置き換えると同じ構造です。わたしも夜中におなかが空くと、暑かろうが寒かろうが関係なく、近くのコンビニまでお菓子を買いに
行ってしまいます。

 実は、これまでも何度かお菓子・ジュースをやめてダイエットに挑戦したことがあります。しかし、すぐにご飯のおかわりが1杯から2杯と増えていき、お菓子の代わりにサンドイッチやパン、おにぎりを食べてしまいます。コーラをやめてお茶にしていたはずが、いつの間にか100%フルーツジュースになります。次は、おにぎりの代わりに「おにぎりせんべい」という、子供じみた置き換えを行います。こうして一ヶ月もすれば、お菓子とジュースの生活に逆戻りです。

 次は自分に言い訳を始めます。「これくらいなら大丈夫」「少しくらいぽっちゃりしていた方が健康的だ」「患者に安心感を与えられる」と開き直ります。
 「依存症は否認の病」と言われますが、私の言い訳も「否認」そのもので、アルコール依存症の患者そっくりです。

 アルコール依存症の患者は断酒を勧められると「一日一合ならいいでしょう?」「酒は百薬の長だ」「養命酒はいいですか?」「奈良漬けは?」と、あの手この手で言質を取ろうと、食い下がってきます。判で押したように、皆同じことを言います。おかしな事ですが、本人達は大まじめです。最初はあきれていましたが、実は私も「アルコール」を「糖質」に置き換えただけで、彼らと同じかもしれない?という疑念がまとわりつくようになったのです。私は下戸ですが、もしもお酒に強ければ、今頃は患者の側にいたかもしれません。

 まず私が糖質依存症から回復すること、これをしないと患者の治療に真実味がありません。うまくいけば「ダイエット」と「依存症患者を理解すること」の両方がかなうかもしれません。
 こういうときは具体的な目標が必要です。ちょうど開業を控えていますので、出来ればそれまでに「いわゆる糖質制限」で標準体重になろうという目標を立てました。何事も実験です。自分の体を持って実験する必要があります。

 平成25年8月、私は糖質制限ダイエットを開始したのです。