波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

「依存症」を理解する<その4>~糖質依存からの回復~

約 1 分

logo ダイエットを始めてから約半年が過ぎ、ようやくこの一ヶ月は標準体重で、増減なく落ち着いています。久しぶりに会う人は、私とわからないこともあるようですね。また、急に痩せてしまったのをみて「病気なんじゃないか?」「ストレスが多いのではないか?」と心配していただくこともあります。皆さんご心配ありがとうございます。

 しかし私は元気いっぱいです。

 この間、自分の身体を使って試行錯誤を繰り返し、なんとか私なりの方法論を身につけました。レコーディング栄養学的アプローチを組み合わせて、なんとか糖質依存症に立ち向かえそうな気がしています。

 振り返ると約5ヶ月で10kg体重を落とすことが出来ました。アップダウンはありましたが、1ヶ月で2kg減量のペースです。結果論ですが、私にはこのくらいのスピードが合っていたように思います。あまり急激にやせるとリバウンドしやすくなります。(依存症の業界用語では「スリップ」という言葉を使います)
 逆にゆっくりすぎると効果が実感できず、やはり同様にスリップしやすくなります。

 この半年間、白米、麺類、パンは「ほとんど」食べていませんが、健康的に過ごせています。最初は頻繁に、無性に食べたくなることがありましたが、これもアルコール依存症と同じ構造だと考え、なんとか耐えました。そして、最近はあまり食べたいと思わなくなりました。昔は毎日のようにカレー屋、牛丼屋に通っていましたが、振り返ってみると「依存」していたように思います。今では少なくとも自分の意思で行くことはなくなりました。
 ときに家族とのつきあいでカレーを食べることがあります。先日も宇部の「クルクム」というお店に家族で行ってきました。とてもおしゃれなお店で、カレーも非常に美味しかったのです。久しぶりのカレーをおそるおそる一口食べます。脳に「がつん」と来ます。そのくらい美味しいのです。糖質依存でなければ毎日でも通いたいくらいです。(この「毎日」という考え方がすでに歪んでいて、じつに依存的です。)

 当直の検食も同様です。お正月はおせち料理でしたが「ハレの日」と考えて、しっかり食べました。あまり堅く考えず、機会飲酒ならぬ、機会糖質とかんがえました。ある枠の中で少量摂るのも長続きの秘訣でしょうか。(アルコールの場合は少しもとらない方が良いと言われています。)
 ちなみに糖尿病患者の食事指導では「ハレの日」「褻(ケ)の日」と使い分け、適度にガス抜きすることを勧めていますが、毎日がハレの日になってしまう人がいて困ります。

 その他、会食等でどうしても糖質を摂らざるを得ない機会がありますので、そのときも考えながらほどほどに摂取しています。訪問先のおばあちゃんが善意で入れてくれた「砂糖たっぷりのコーヒー」を断ったりはしません。これらで日々充分な糖質や炭水化物を摂取できます。
 しかし、善意の同調圧力というのは恐ろしいもので、ご飯やパン、お菓子を食べないと「どうして?」という好奇の目にさらされます。毎回同じ説明をして、場の空気を悪くしてしまいます。この構造もアルコール依存症といっしょです。お酒の席でウーロン茶を頼む人がいると、しらけてしまいますが、あれと似ています。

allfree_photo01 さすがに最近は「運転があるので、すみません」と頭を下げれば、それ以上にお酒を無理強いされることはなくなってきました。このあたりは社会が成熟してきている証拠でしょう。たまに理解のある人たちと会食するとほっとします。

 大豆や肉はよく食べます。先日はBig Boyの「ステーキフェア」なるものに行き、思い切って1ポンド(450g)のステーキを食べてみました。食べても食べてもなくならず、最後はうんざりしてきました。「満腹感」はありますが、不思議と「満足感」がないのです。
 「糖質は満足感を与えてくれる」というのは本当で、おそらくそれが依存につながるのではないかと考えています。

 ちなみにBig Boyにはサラダバーがありますので、これは便利です。野菜がいっぱい食べられます。 注意点としてはマッシュポテト、海藻類は少量にすることです。(ポテトは当然ですが、海藻類も意外に糖質が多いのです)
 また、スープバー、カレーバーも糖質依存症の人は遠慮した方が良さそうです。

 これはファミレス全般に言えることですが、セットのご飯やパンを頼まなければ糖質制限向きのメニューが多く、しかも個人個人で好きなものが食べられますから、大勢で行っても人に気兼ねせずに食べられて便利です。
 私の外食第一選択はファミレスです。分煙してあれば完璧でしょう。子供たちはフライドポテトを好んで食べますが、私はそれを微笑ましく見ながら野菜と肉を食べます。
 むかしはファミレスは健康の敵だと思っていましたが、今では親友ですね。昔の敵は今日の友!

 さらにこれは副次的なものですが、野菜(食物繊維)を多く摂るようになったためか、便通も良くなりました。

 家内からは冗談半分で「つまらん人間になってしまった」といわれます。断酒した人も同様のことを周囲から言われますので、アルコール依存症患者の気持ちが、少しわかるようになってきました。ありがとう。

 家内に感謝することがもう一つ、糖質制限の食事を作るのはとても面倒で大変なのですが、文句を言いながらも協力してくれています。ありがとう。
 しかし、言い換えると「糖質が多い食事の方が手軽に作りやすい」とも言えます。問題の根深さを感じます。

 一般論ですが、糖質依存症になっていない人は、糖質制限をする必要はありません

 この半年間、自分の身体で実験してみて体感でわかったのは、糖質制限はあくまで「制限」で「ゼロには出来ない」ということです。野菜はふんだんに摂りますが、たとえばニンジンは糖質と食物線維で出来ていて、炭水化物の塊なのです。日本で普通に生活していて、これを避けることは出来ません。また調味料等でどうしても糖質は混入してきますので、「糖質を制限しよう」くらいの気持ちでいて、ほどよく糖質や炭水化物を摂取できると思います。

 現時点で、私は「糖質制限は糖質依存症の人のためにある」と考えています。医学は科学であり、知見は日々変化していきますので、数ヶ月後には全く違うことを言っているかもしれませんが…。

 それから、糖尿病の人(予備軍の人も)は主治医と相談した方が無難です。また肝機能障害のある人は糖新生能力が落ちていて、低血糖になる可能性があるので、主治医との相談が必要です。また腎機能低下がある人はやめてください。

 厳密には「依存」と「依存症」は違いますが、それはまたの機会に譲りたいと思います。
 今回のタイトルが「回復」となっているのは、「依存症は、回復すれども治らない」が基本にあるからです。いずれこれについてもお話ししたいと思いますが、今日はこれまで。