波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

「フライト」

約 1 分

フライト01「フライト」
 デンゼル・ワシントン (出演), ロバート・ゼメキス (監督) 

 最初に劇場予告を観たときは航空機サスペンスかと思ったのですが、実際の内容は違いました。ちょっと意外でした。

 ウィトカー機長は制御不能となった飛行機を緊急着陸させ、多くの乗客の命を救います。しかし彼の血液中からアルコールが検出され、事故の原因は彼にあるのではと疑われます。

 薬物依存の凄腕旅客機パイロットの話なのですが、薬物から離れようとする気持ちと、依存する気持ちが交錯し、内面がとてもリアルに描かれています。ひとつひとつの仕草もそれっぽく、いったん手持ちのお酒を全部処分した主人公が、再飲酒に陥るところは真に迫っています。

 アルコールで酩酊した状態から回復するためにコカインを使うシーンが出てきます。コカインはいわゆる「アッパー系(興奮系)」の薬物に分類されるので、よくこういった使い方をされるのですが、これは非常に危険です。
 アルコールとコカインを同時に摂取すると肝臓で「コカエチレン」が生成されるのですが、これはコカインより猛毒です。コカイン自体も有害ですが、コカエチレンはその何十倍も毒性が強く、肝臓と心臓に負荷をかけて死亡率を上昇させます。
 最近ではホイットニー・ヒューストンがこれで死亡しています。アルコールとコカインの組み合わせは絶対にやめた方が良いです。

 しかし、ロバート・ゼメキスといえば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「フォレスト・ガンプ」が有名ですが、単なる社会風刺や「お涙ちょうだい」ではなく、スリルやユーモアを交えているところはさすがです。
 物語の後半で麻薬の売人が酩酊状態の主人公を目覚めさせるためにコカインを持って登場し、使い方を取り巻きの素人に講釈します。その姿がいかがわしいメンヘル系の医者をイメージさせ、思わず笑ってしまいました。このあたりも現代社会を皮肉っているかのようです。

 ただ、普通の映画としても十分に楽しめるでしょう。とてもゼメキスらしい、ほっとさせるラストシーンは安心してみられます。