波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

遊牧民のように、お薬手帳を持ち歩く。

約 1 分

お薬手帳 「お薬手帳を断れば、薬局の支払いが20円安くなる」、との情報がツイッターを中心に拡散し、若い人を中心にお薬手帳を断る人が増えているのだそうです。

 確かに20円は若い人にとって大事でしょうし、定期受診はせず、風邪などで一回だけの受診に終わってしまう人たちにとっては、さしあたり不要なものなのかもしれません。

 クリニックでは新しく受診してきた患者さんが、受付でそっとお薬手帳を出してくれます。

 私は診察の前にそれをじっくり眺めます。いつ、どこの病院に、どんな理由でかかり、どんな治療を受けたのか?それぞれ貼られたシールに患者さんの歴史が刻み込まれています。

 それらをじっと眺めていると、不思議とその人の歴史が浮かび上がってくるのです。

 こうなるとお薬手帳はちょっとした簡易カルテのようなものです。(日記のようなものかもしれません)

 以前に読んだ本によると、南米の遊牧民は自分のカルテやレントゲンフィルムを常に持って、居住地を移動していくのだそうです。それぞれかかった病院でデータが書き込まれ、それがその人の財産となっていきます。

 今の日本ではカルテ管理は各病院ごとに分かれており、他院での治療状況を知りたいと思えば、診療情報提供書(紹介状)を通してしかわかりません。患者さんによっては自分で検査結果を保管している人もいますが、時間軸がばらばらに保存されていたりして、にわかには理解できないデータです。

 その点、お薬手帳はシンプルな構成ながら、時間軸に沿って、いつ、誰によってどんな治療が行われ、どう変遷したのか手に取るようにわかります。値段は20円ですが、同じものをお店で購入すれば20円ではすまないでしょう。(何事にも最低限のコストがかかります。)

 何かの持病を抱えていたり、ある種の薬でアレルギーが出たりすることを考えると、仮に20円出してもお薬手帳を持っていた方が良いでしょう。20円で救われる命もあります。

 そのうちに、お薬手帳も電子化され、スマホの統一アプリになってしまえば、若い人も手帳をほしがるようになるかもしれませんね。