波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

「往診」と「訪問診療」の違いとは

約 1 分

SONY DSC「往診」

 ちょっとノスタルジックな響きを持つ言葉です。明治から昭和初期、あるいは「三丁目の夕日」の時代によく使われた言葉でしょう。

 医療が高度化し、入院治療が中心の時代になってきた頃から、あまり使われなくなってきました。

 近年、「在宅医療」ということが盛んに言われるようになり、それとともに「往診」という言葉もまた目にするようになりました。

 「在宅医療」とセットで使われる言葉に「訪問診療」というものがあります。波乗りクリニックが外来診療と併せて行っているのは、この「訪問診療」です。

 「往診」と「訪問診療」、この二つはどのように違うのでしょうか?

 いずれも医師が患者宅に赴いて診察するという点では同じです。しかしこの二つには大きな隔たりがあります。

 時に医療関係者でも、この二つを混同している場合がありますので、今日はこの違いを説明しておきたいと思います。

 「訪問診療」とは、寝たきりなどで外来通院をする事が難しい患者のために、医師が計画的な医学管理のもとにスケジュールや診療方針を作成し、定期的に患家(患者宅)へ通って診察する事です。診療時間内に要請のあるときだけ患家へ赴き、その場限りの診療する「往診」とは異なります。さらに言うと「往診」には、日常の健康管理はなく、24時間対応もありません。

 「訪問診療」では、体調が悪くなったときに、より良い対応ができるように準備を行っています。体調が比較的落ち着いているときでも、月2回以上定期的に訪問し病状を把握します。(保険診療上の制度により、訪問診療は月2回以上の訪問が義務付けられています。)
 さらに、調子が悪くなったときや、健康面で気になることがあるときは、24時間対応で相談を受け付けています。
 また、緊急の治療が必要なときには、臨時の訪問を行います。(現在はこのことを行政用語で「往診」と総称しています)
 また、入院や高度医療が必要な場合は在宅療養後方支援病院の紹介も行っています。

 波乗りクリニックでは、「午前が通常の外来診療」、「午後が訪問診療」、「夕方17時~19時まで外来診療」のスタイルをとっています。

 初めての依頼が緊急往診の場合はどうしているのでしょうか?

 波乗りクリニックでは、できる限り「緊急往診」の要請にも応えています。午後の訪問診療予約が少ない場合は比較的すんなりと行くことが出来ます。
 実際、開業して一ヶ月の間に何度か緊急往診を経験しています。

 

SONY DSC さて、緊急的に診断治療を行うためには、患者の普段の状態を知っていることが大変重要です。事前情報がなく、設備もないところで現代医療を展開するには限度があるのです。
 しかしそうはいっても、いろいろな事情で通常外来を受診できない患者もいます。
 たとえば、「今日は熱が出ているけれど、普段は元気で持病がないため、かかりつけ医もおらず、かといって救急車を呼ぶほどの重症感がない場合」などです。

 以前に勤めていた診療所で経験したケースでは、患者のお孫さんがお世話の中心人物で、なおかつ曾孫の赤ちゃんの面倒を見ていて、どうしても病院受診が出来ない場合に遭遇しました。そのときは臨時で往診に行きました。
 時には杓子定規に考えず、臨機応変に動くことも大事です。
 そのときは、手に入る情報、使える知識・技術・物品で対応しました。
 しかしその後の経過がどうなったかわかりません。これが臨時往診のつらいところです。

 波乗りクリニックはできる限り「緊急の往診要請」にも応えていきたいと思いますが、実は「往診」には様々な制約があり、「訪問診療」ほどの質の確保が難しいのです。

 出来れば日頃からかかりつけを持ち、通院が難しくなったときには、その診療所からの訪問診療を受けられるように備えするのが良いでしょう。