波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

左手が○鹿になりました。

約 1 分

うましか以前、在宅で診ていた患者さんで、左手の不全麻痺の人がいました。

当時、すでに90歳になっていましたが、まだ頭はしっかりしており、弱音を吐かずに療養・リハビリをされていました。

そんな人でも長い療養生活の中で、時には気弱になります。

「先生、左手が○鹿になってしまって…。役に立たないのです。」

ふとした拍子に恨み節が出ます。

「馬○と言ってはいけません。これは大事な手ですよ。今までもこれからも、とっても大事な手ですよ!」

思わず、言うともなく、思わず言ってしまいました。

余計なことを言わねば良かった。と思ったその時、その患者さんが答えます。

「そうね、大事な手ね。私は左手に悪いことを言ってしまった。ごめんなさい。」そう言って左手をさすり始めたのです。

90歳にして、何という素直さでしょう!

この方の90年のうち、私が知っていたのはごく一部の、そのまた一部にすぎません。

しかし、なんとなく90年の重みに思いをはせることが出来ました。

在宅医療はもちろん大変なことも多くあります。

その一方で同じくらい、あるいはそれ以上の喜びを得ることも出来ます。

もっと、多くの人に在宅医療の喜びを知ってもらうため、頑張っていきたいと思います。