波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

大切な人を守るために

約 1 分

守る 波乗りクリニックでもインフルエンザの予防接種が始まり、秋の到来を告げています。

 どうしてインフルエンザの予防接種をしなければならないのか?考えたことがあるでしょうか?

 私も毎年、インフルエンザの予防接種を受けていますが、反応が良いためか、毎度のように接種部位は赤く腫れ上がり、熱を持ちます。数日間痛みが続いたこともあります。おそらく自分が接種してきた患者さんや同僚と比べても、副反応が強く出ている方だと思います。

 では、なぜこんな思いをしてまで予防接種をしなくてはならないのでしょうか?

 医療従事者には毎年のインフルエンザ予防接種が義務づけられています。これは予防法によるものではなく、プロとしての矜恃から来る義務です。

 予防接種の効果はいろいろ言われていますが、まずは当然のことながら「感染しにくくなること」、次に(感染しても免疫が素早く働くようになるため)「症状が軽くなる」こと、「流行を防ぐこと」が主だったところでしょうか。

 前二者の効果は個人個人を守るためのものです。そして後者の「流行を防ぐ」のは他者を思いやり、守るということに他なりません。

 すこし大きな視点で見てみましょう。毎年、季節性のインフルエンザでは全国で約一千万人が感染します。国民の約10人に一人の割合で、これは大変な数字です。もしも全国民が予防接種を受ければ、これを500万人減らすことが出来ます。(もしも同時期に一斉に予防接種を行えば、もっと効果は上がると思います)
 この中には免疫力・基礎体力の低下した人が多く含まれていますから、結果として多くの人の命を救うことが出来るのです。

 ポイントは「集団で接種する」ところにあります。「群れの免疫」とも言われますが、ある集団で予防接種をする人が増えると、予防接種をしていない人を含めて、インフルエンザに罹る確率が下がるのです。お互いに相手の「盾」になるようなイメージを持って下さい。
 ある地域に住む私たちが、ある職場で働く私たちが、一人でも多く予防接種をすれば、そこでの流行が押さえられ、結果として他者の命を救うことになります。

 そう、予防接種には自分を守るだけでなく、愛する家族や友人、職場の同僚、自分の受け持ち患者を守る効果があるのです。これはまさに他者に対するギフトです。

 一般の人は「自分のために」予防接種を受けます。一方、プロの医療者は「患者を守るために」予防接種を受けます。これが一般の人とプロの医療者の決定的な違いなのです。

 私もプロの端くれとして、患者と家族、スタッフを守るため、今年も痛みをこらえて予防接種を受けようと思います。