波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

禁煙における「認知的不協和」とは~受容的態度で接すること~

約 1 分

no smoking_R禁煙外来をやっていると、いろんな患者さんがやってきます。

その受診動機は様々ですが、それはさておいて、波乗りクリニックの入り口をくぐった時点ですでに半分は禁煙に成功しているといえるでしょう。

禁煙には5つのステージがあるといわれています。

  1. 無関心期:禁煙する気はない
  2. 関心期:6ヶ月以内に禁煙しようと考えているが、1ヶ月以内ではない
  3. 準備期:1ヶ月以内に禁煙しようと考えている
  4. 実行期:禁煙して3ヶ月未満
  5. 維持期:禁煙して3ヶ月以上

 ほとんどの人は3~4のステージで自発的に受診してくるので、治療には非常になじみやすい状態です。

ところが時々、無関心期の人が家族や周囲の人に強く勧められて、渋々と受診するケースがあり、この場合は結構治療に難渋します。

(A-1)「タバコは体に悪い」というのは、ほとんどの成人が理解していることですが、時に(A-2)「タバコは悪くない」という風にうそぶく人がいます。これはなぜなのか?

その謎を解く鍵は「認知的不協和」にあります。

非喫煙者にとっては、(A-1)「タバコは体に悪い」という「考え」と、(B-1)「タバコを吸っていない」という「状態(行動)」は、その人の中で矛盾することなく、快適に共存します。つまり「考え」と「状態(行動)」が一致しています。

ところが、喫煙者が(A-1)「タバコは体に悪い」と考えると、(B-2)「タバコを吸っている」という事実とつじつまが合わなくなり、非常に不快な状態になります。これを「認知的不協和」といいます。

この場合、喫煙者が行動を変えて(B-1)「タバコを吸っていない」の状態になると快適に過ごせます。これが「禁煙に成功した人」の状態です。心身ともに安定し、達成感とともにその後の人生を豊かにします。

逆に喫煙者が「考えを変えて」、(A-2)「タバコは悪くない」という風になる場合があります。これを心理学用語で「合理化」と呼びます。「防衛機制」といって「自分を守る防御反応」の一種です。禁煙に対して無関心を装う人にはこのパターンが多いのですが、あくまで自分の心を守るための反応なので、これも無理からぬことです。決して責めてはいけません。論理的に論破するなどもってのほかで、そうなるとさらに「合理化」を推し進め、せっかく禁煙しようとしていた人も「合理化」の波に飲み込まれ、かえって禁煙から遠ざかってしまいます。

(小学生の頃、今から宿題をしようとしていた矢先、「宿題は終わったの?」と親からいわれ、やる気をなくした経験は皆さんお持ちだと思います。)

「禁煙してストレスをためた方が体に悪い」
「おじいちゃんはヘビースモーカーだったけど、90歳まで長生きした」
「禁煙したとたんに肺癌になって死んだ人がいる」

等々、様々なバリエーションがありますが、上記のような発言を聞いたときは、「合理化だ」と判断して、暖かく対応する必要があります。

続きはまた今度。