波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

「僕らはみんな病んでいる」

約 1 分

手のひらに太陽を昨日紹介した、「冷蔵庫を抱きしめて」に収録されている短編、「それは言わない約束でしょう」に出てくるのです。

「手のひらを太陽に」の替え歌が…。

その中に、何でも病名をつけたがる医者が登場します。

来院した患者に手当たり次第、病名をつけていくのですが、その様が実に滑稽です。
(「イン・ザ・プール」の伊良部医師へのオマージュでしょうか?)

「僕らはみんな病んでいる」、かどうかは別として、私も他人事(ひとごと)では済まされません。

私のように「心療内科」を標榜していると、限りなく「精神科」領域に近い人たちを診察する機会も多くなります。

「心療内科」と「精神科」の違いについては、また別の機会にじっくり説明したいと思いますが、

それはさておき、困るのが「病名」なのです。受診してきた患者には何らかの病名が必要です。

これが、胃潰瘍や不整脈であれば、患者さんにもわかりやすく説明がつくのですが、「精神科」や「心療内科」領域の診断は難しいことが多いのです。厳密にはICD-10やDSM-5といったマニュアル診断もあるのですが、それも使い方によって、診断する医師によって、診断名が変わります。複数の病名がつくこともあります。

おまけに、患者の病状も刻々と変化していきます。変な話、「精神科」領域の診断名は、ある時点から5年後に、5割の患者で変更される(別の診断が下る)と言われています。

なので、「診断名」をつけるときはとても慎重になります。言葉を選びます。

患者の方も自分の診断名が知りたいところでしょうけれど、私が「診断名」を口にするときに歯切れが悪くなってしまうのには、そういった事情もあるのです。

また、「診断」されることで、その患者に「レッテル貼り」をしてしまうこともあり、その場合、病院にかかることで「重い十字架」を背負わされることも少なくありません。

「診断名」が力を持つのは、それが「治療」に直結し、有効な治療法があるときだけです。

その程度は人によってまちまちですが、本当に「僕らはみんな病んでいる」のかもしれません。