波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

「賞賛よりも、祝福を」

約 1 分
梅雨の合間、つかの間の晴れ模様
梅雨の合間、つかの間の晴れ模様

「ほめて育てましょう」

子育て支援の時に言われる言葉です。

確かに、「ダメダメ」と、否定されながら成長するのと比べれば、もちろんほめられて育った方が良いでしょう。報酬系回路を適度に刺激して、良い結果を生むと思われます。

しかし、人間いつまでもほめられ、賞賛され続けるわけではありません。時には大失敗して叱られることもありますし、またそれは絶対に必要でしょう。そうしなければ「打たれ弱い」人間に育ってしまいます。

それでは、頑張ったとき、良いことが起きたときは、どう対応すれば良いのか?

「祝福する」ことです。「おめでとう!」と。

自分の子供には「勉強が出来てほしい」、「スポーツが出来てほしい」と思うのは、ごく普通の感情だと思います。

そこで、子供の報酬系回路を刺激するために、「次のテストで○○点以上だったら、××を買ってあげる」「どこそこに連れて行ってあげる」等の約束をしたとします。そのハードルがよほど高くない限り、その子はがんばって事が成就するでしょう。そして欲しいものを手に入れ、次もがんばる。この循環が続いているうちは良いのです。しかし、ハードルは徐々に上がり、あるいは報酬そのものに魅力がなくなり、いつかはこの循環が破綻します。その時に何が起こるか?

ハードルを下げるか、あるいはもっと刺激的な報酬が必要になります。人間の欲望に限りはありません。外から刺激を与えられている限りは、どんどんと刺激を強めていかなければなりません。つまり、それを与え続けなければ自分では動かなくなっていきます。

賞賛されない自分に対して否定的な感情を持つようになります。

「○○出来る自分」=「価値のある人間」
「○○出来ない自分」=「価値のない人間」

と、二分法的思考(白黒思考)に陥っていくのです。

ある年齢までは順調に伸びていた人が、ある失敗をきっかけに決定的に落ち込んでいくのは、周囲からの賞賛がなくなり、自尊心が傷つけられて、自己評価が下がり、劣等感を持つようになるからです。

過去の栄光が輝かしいものだった人ほど、落ち込みがひどくなります。

それでは具体的にはどうしたらよいのか?

まずは誰でも出来る対応として、「○○が出来てすごいね!」と言いたくなるところを「○○出来て良かったね!」、「おめでとう!」と少し語尾を変えるだけでよいのです。同じような意味合いでも、聞く方の潜在意識には随分違って聞こえます。

これを繰り返していると、本人の中に自尊心が芽生えます。「自尊心」は、自分自身の内側にある「精神科救急病院」の様なもので、その人が窮地に陥ったときに自分で自分の心を治療することが出来ます。

まあ、ただ、「自尊心だけがやたらと高い人」というのも問題なのですが….。それはまた別の機会に。

(いやぁ、むずかしいねぇ~。)