波乗りクリニック

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「生命」と「生物」の定義とは(ナノバクテリア論争から考える)

約 1 分

ナノバクテリア_01「生命」の定義は非常に難しいものです。宗教・哲学・科学、おそらくその他の分野からのアプローチもあり、定義は不可能です。

「生物」の定義もおそらく完全にはできないでしょうが、大まかに
1.細胞膜がある
2.自己複製能力がある
3.エネルギー代謝をしている
といったところに集約されるます。

数年前に話題になっていた謎の生命体「ナノバクテリア」についての新しい見解が出て、岡山大学の研究チームがプレスリリースを出していたので読んでみました。

ナノバクテリアは、アパタイトの殻を形成しながら増殖する新規の極小細菌(通常細菌の100分の1の大きさ)として、1977年にフィンランドの研究グループが初めて報告したものです。その後、さまざまな研究によって細菌である可能性はほぼ否定されていましたが、「ナノバクテリアは石灰化を伴う種々の生活習慣病の悪性腫瘍の原因微生物」であるとする論文が発表されるなど、今でも存在に対しての論争が続いていました。

結局のところ、ナノバクテリアは生物ではなく、酸化ストレスで石灰化して行く過程で発生するもので、その結果として結石や動脈硬化が生じていたようです。

新種の生物が見つかると盛り上がりますが、ちょっと今回は興醒めしてしまいました。

しかしこれで、何らかの治療法開発につながれば人類にとってはプラスですね。

ナノバクテリア_02

平成 25 年 12 月 18 日
「謎の極小微生物『ナノバクテリア』に関する論争に終止符 」
自己増殖メカニズムと病原的意義を解明

概要:
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器病態学分野の公文裕巳教授らの研究グループは、石灰化しつつ自己増殖する新種の生命体として長く論争が続いている「ナノバクテリア(NB)」の正体を世界で初めて突き止めました。

<業 績>
ナノバクテリア(NB)は、アパタイトの殻を形成しながら増殖する新規の極小細菌(通常細菌の1/100)として、1977年にフィンランドの研究グループから初めて報告されました。その後、細菌である可能性は否定されましたが、未だに、NBが新種の生命体であり、石灰化を伴う種々の生活習慣病や乳がんなどの悪性腫瘍の原因微生物であるとする論文などの研究発表が公表され、論争が続いています。事実、本学においても2001年より尿路結石からの分離を試み、2004年までにNB様粒子(NLP)10株を取得しました。浮遊系と付着系での2相性の増殖様式を示すことは判明していましたが、自己増殖のメカニズムは長く不明でした。 

今回、改めて、NLPに対するモノクローナル抗体群の中で特定の酸化脂質を認識するIgM抗体を用いて、免疫電顕、分析電顕等を駆使して解析した結果、培養系での自己増殖メカニズムとともに、動脈硬化モデルマウスでの石灰化病変に同酸化脂質が局在することが解明されました。これにより、NBは極小細菌などの生物ではなく、酸化脂質が関与する炭酸アパタイトの結晶であることが、世界で初めて明らかとなりました。

本研究成果は、2013 年 9 月 9 日、国際医学系雑誌『Nanomedicine』電子版に公開されました。
本微生物様粒子がカルシウムを特異的に結合する酸化脂質を足場として成長する炭酸アパタイトの結晶そのものであること、ならびにあたかも生物のように自己増殖して成長するメカニズムが初めて解明されました。
本研究成果により、生物として論争されていたNBがそうでないことが確定したことで今後、当領域の研究・治療のパラダイムシフトが大きく変わり、尿路結石や動脈硬化などの新たな病態解明、早期診断と治療法の開発への応用が期待されます。

<見込まれる成果>
培養系におけるNLPの自己増殖は、酸化脂質とカルシウムで形成されるラメラ構造(液晶構造)を足場にアパタイトの結晶化が連続的に進展する現象であることが判明しました。皮肉にも、その酸化脂質の由来はフィランドの研

ナノバクテリア_03

究グループが他の微生物の混入による実験室内汚染を避けるために推奨した、培養液に添加するウシ胎児血清へのγ線照射(照射による脂質過酸化)が主たる要因となっていました。
同様に、感染性で細胞毒性を示すNBが石灰化を伴う生活習慣病の局所病変を惹起するのではなく、むしろ炎症性局所病変での酸化ストレスによりNLP形成の足場となる酸化脂質が産生されるものと考えられます。つまり、NLPは病気の原因ではなく、病気の副産物として生じるものであると言えます。
本研究成果のひとつである石灰化に関与する酸化脂質に対する抗体は、尿路結石や動脈硬化をはじめとする生活習慣病の病態解析、ならびに診断と治療法への応用が期待されます。現在、診断と治療を同時に実現する新規の標的医療の創出を目指して研究開発が進展しています。

以上、プレスリリースから引用。

どうでしょう?ちょっと長くなってしまいましたが、普段動脈硬化のCTを見慣れている私からすると、はやく病態が解明され、効果性病変改善薬の創出につながってほしいと思います。