波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

「平静の心(Aequanimitas)」

約 1 分

51eBjIaxitL__SS500_ 手元に一冊の本があります。「Aequanimitas」は1904年にジョンズ・ホプキンズ大学医学部教授であったウィリアム・オスラーの講演集として出版され、その日本語訳が日野原重明・仁木久恵、両氏によって、1983年「平静の心」として医学書院から送り出されました。悩むことが多かった学生時代にこの本と出会い、それ以来なにか迷うことがあるたびに、これを開いて自分に問いかける様になりました。「平静の心」は羅針盤のような役割をしてくれる大事な書物です。2003年には新訂増補版が出版され、今はこちらを読むことが多くなりました。

 さて、ウィリアム・オスラーですが、1849年にプロテスタントの牧師の子供として生まれ、トロント医学校からマギル大学医学部へと進みました。ペンシルベニア大学医学部教授を務めた後にジョンズ・ホプキンズ大学医学部を設立・運営し、現代アメリカ医学の基礎を築きました。病理学・臨床検査医学・生理学をベースに、現在の臨床医学教育の仕組みを作った功績は、医学史に燦然と輝いています。

 「平静の心(Aequanimitas)」はオスラーの精神が凝縮された講演集で、その内容は100年以上たった今でも十分新しく、読むたびに自分の無知、至らなさを痛感します。(まるで、未来に読むであろう私の心を見透かして書かれたのではないか、と思うほどです)

 進路に悩む医学生のみならず、現役医師の皆さんも読んでみてください。どんな書物でもそうですが、それを必要としている人の心には響き、それを必要としていない人にとっては退屈なものです。大事なのは「タイミング」です。