波乗りクリニック

一般内科・心療内科・在宅医療

ちょっぴり怖い七夕の秋吉台~その2~

約 1 分

akiyosi3 今年の七夕も例年に違わず、梅雨まっただ中で、今年も織り姫と彦星は会えなかったようです。

 逆にクリニックのスタッフは、「織り姫と彦星はどんだけ仲が悪いんだ(笑)」と盛り上がってておりました。(ちょっと違うけど)

 さて、毎年この時期に思い出すのは秋吉台の思い出です。

 「七夕祭」の模擬店で売り上げた私たち大学サークルのメンバーは、なんとなく深夜の秋吉台ドライブに出かけました。

 ちなみに、秋吉台といえば「秋芳洞(あきよしどう)」ですが、カルスト台地を貫くカルストロードもドライブコースとして人気があり、山口市内から30分ほどで行けるため、深夜に走りに行っている人も結構いました。道路は比較的緩やかなので、ドリフト族のような走り屋には物足りないらしく、そういった人たちは「21世紀の森」のようなカーブのきつい峠を好んでいたようです。

 さて、夜遅くに10数人のメンバーで車数台に分乗して、無目的に秋吉台方向に出発しました。最短コースでは面白くないと思ったのか、小郡方面から上ろうということになり、いつもの慣れた道とは違うルートで連なって走ります。しばらく山間を走っていたときのこと、先頭の車がスローダウンして路肩に止まろうとしています。

 「なんだろう?」と思い、さらに前を見ると2台の車が止まっているのが見えました。「もしかして事故か?」と以前の記憶がよみがえります。(平成26年6月4日のブログ参照)

 そこには男が二人、10代後半とおぼしき若い女性が一人いて、その女性は泣きじゃくっています。先頭車に乗っていた後輩に尋ねると、道を走っているとその女性が「助けを求めて飛び出してきた」との事でした。なんだかいやな、むかつく話になってきました。誰もが「女性が襲われたのではないか」と怖いことを考えたりしていたようです。

 サークルメンバーの女の子たちが女性を保護します。男性メンバーは男2人を取り囲み詰問し始めます。一種異様な怖い雰囲気が広がります。何かが焼けるようなちょっと異様な臭いもしています。

 男2人の内、若い1人は興奮状態にあったのでこちらは放っておき、30代とおぼしき会社員風の男性から話を聞きます。

 当初は2人の男に若い女性が襲われたのではないかと思っていたのですが、真相はやや違っていて、若いカップルがドライブ中にけんかをして、女性が車から逃げ、後続の車に助けを求めたようなのです。会社員風の男性は、その女性を助けるためにその場にとどまって、けんかの仲裁に入ろうとしていたようなのですね。

 つまり、興奮していた若い男が彼氏で、泣きながら助けを求めてきた女性がその彼女、会社員風の男性は単なる通りがかりの第3者だったわけです。これだけならただの痴話げんかのようですが、保護した女性から話を聞くと、どうやらそれだけではありませんでした。

 なんと、その女性は「髪の毛を焼かれていた」のです。その彼氏に!

 焦げ臭いにおいはこれだったのです。

 別れ話のもつれから、興奮した彼氏がもっていたライターで彼女の紙に火を付けたらしいのです。かわいそうに髪の毛が至る所でちりぢりに焼かれています。

303 こうなると「ただの痴話げんか」どころの騒ぎではありません。メンバーの一人が110番通報するため近くの公衆電話を目指して車で向かいました。(20年前の話ですからね、もちろん携帯電話はありません)

 警察を待つ間、男が逃げないように皆で取り囲みます。あまりにもひどい男の所行に後輩達が殺気立っています。しかし、誰かが手を出せば、こちらも非を問われかねません。普段は苦手な警察ですが、こんな時だけは「早く来てほしい」と思います。

 やっとパトカーが到着したと思って近づいていくと、降りてきた警官が開口一番、大声で怒鳴ります。

 「お前らのリーダーは誰だ!」

 どうやら、ポリスの認識として、私たちが悪者になっているようで…。110番通報した後輩は「おれはちゃんと説明しましたよ」と力説しますが、メンバーは白い目で後輩をにらみます。

 事情を説明している間に何台ものパトカーが到着し、わらわらと警官が降りてきます。暴走族が騒いでいるとでも思ったのでしょうか?

 やっと状況がわかったのか、職務質問はやっとそのDV男に向けられるようになりました。

 最初に女性を保護した会社員の男性は終始地べたに座り込み、頭を抱えて自分の不運を嘆いていました。この人は仕事で山口に行き、長門かどこかに帰る途中だったようで、何も悪くないのに事件に巻き込まれ、あげくに(一瞬とはいえ)犯人扱いされたかわいそうな人でした。翌日は朝早くから仕事があるとのことで、夏休みに突入した私たち学生とは違ってとても気の毒でしたね。

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 そんなわけで、毎年七夕の季節が来ると、このときの事件を思い出します。今でこそ「DV」や「ストーカー」といった言葉は一般に知られるようになり、社会問題ですが、当時はまだ「痴話げんか」と同じ扱いでしたから、隔世の感があります。

 今頃、あの人たちはどこでどうしているのか?幸せになっていれば良いのですが…どうでしょう?

 夜の秋吉台にはご注意を!