
先日、新聞に掲載されていた吉本ばななさんのエッセイに、いつも混んでいるカレー屋さんについて書かれていました。
『たくさん待つのに少しも店員さんがいばっていなくて、すごくおいしくて、急かされて食べることのないお店だ。』
読みながらいろいろと考えさせられました。
クリニックの外来も日によって波があり、混雑するときと、ゆったりと診察できるときとがあります。
「待つ」よりも「待たせる」方がつらいもので、待合の患者さんが増えていくと、ついつい焦って診療が荒っぽくなってしまいます。
理想的にはどんなに忙しくても、待っている患者さんが増えても、いつもと変わらず淡々を診療していくのが良いのですが、まだまだ、このカレー屋さんのような境地には到達できません。
患者さんの中には、自分より後の患者さんを気遣って、早々に診察室を出ようとされる人もいますが、そんな気持ちにさせてしまうというのも、その医療機関の問題なのでしょう。
そもそも、カレー屋さんと診療所では職種が違うし、待ち方、待たせ方もちがうと思うのですが、「せかされて食べることのない」というのは、参考になる言葉でした。